雑感~広島高裁、新長官就任

 先日、広島高裁の長官に、笠井之彦裁判官が就任したという報にふれました。

 

 

 高裁の長官ともなると、我々が直接にかかわる機会は少ないですが、上に立つ人の考え方や姿勢は、多かれ少なかれ組織全体に影響を与えるもの。これからのご活躍に期待したいですね。

 

 

 また、笠井長官は、前任が司法研修所長とのこと。

 

 所長の仕事内容には詳しくありませんが、司法研修所には、裁判官だけでなく、検察官や弁護士も多数教官としていらっしゃいますので、仕事上、関わりを持たれることもあったのではないでしょうか。

 

 そういったご経験からも、広い視野で、今後の裁判所や裁判手続の在り方を考えていかれるのではないかと、勝手ながら期待を寄せています。

 

新年度と弁護士

 4月から新年度の始まり。入学式や入社式で新たな一歩を踏み出した方も多いと思います。
「もう社会人になって長いよ」という方も、新入社員が入ってきて部署の雰囲気が少し変わったり、ある種の「区切り」や「新鮮な空気」を感じることの多い時期なのではないでしょうか。

 

 私もその昔、学生の頃は、4月が近づくと、新しい生活や学年の始まりにウキウキしていました。
 で、今年ふと感じたのは、弁護士になってからはどうかということ。今日は、そんなとりとめもないことをコラムにしてみたいと思います。

 

 結論から申し上げると、多くの弁護士にとって、4月はあまり大きな区切りではないように思います

 裁判官の異動が多い時期ではあるので、係属している裁判の担当裁判官が変わったり、あるいは各弁護士が所属する弁護士会の体制が変わったり、変化はいくつかあります。特に担当裁判官の交代は、訴訟の流れに影響することもあるので、弁護士としても気になるポイントの一つではあります。

 しかし、裁判自体が続くことには変わりがなく、普段の業務が大きく変化するわけではないので、4月が「区切り」であるとか「新鮮」とかいった気持ちはあまり感じないように思います。

 

 では弁護士が最も変化を感じる時期はいつか?

 これには意見が色々あるかもしれませんが、私にとっては12~1月です弁護士が司法修習を終えて弁護士事務所に入所したり、各地の弁護士会に入会する、そのラッシュの時期が12~1月だからです
 新しい顔ぶれを見ると新鮮な気持ちになりますし、初心を思い出して改めて気が引き締まります。ちょうど新年が始まる時期でもあるので、今年も一年頑張ろうと思えてきます。

 

 仕事をしているとストレスを感じたり、鬱々とした気分になることもありますが、一年に一度は変化を感じ、新たな気持ちで日常にも仕事にも取り組みたいものですね。

裁判文書の書式(体裁)

久しぶりのコラムです。今日は裁判文書の書式について。


裁判所に訴状や準備書面を提出する際、最初にぶつかる疑問の一つが、そもそもどういう書式(体裁)で書けば良いのか?という点ではないでしょうか。

余白や文字の大きさに何か決まりはあるのか?等々、いざ作成しようと思うと疑問は次々湧いてきます。


この裁判文書の書式(体裁)ですが、実務では、通常、以下の体裁で作成されています。

A4版横書き

 

文字の大きさ=12ポイント

 

ページの余白=上35mm、左30mm

(下余白は27mm、右余白は15~20mmとすることが多いと思います。)

 

1行の文字数=37文字、1ページの行数=26行

 

 

 

 

 

 

 


また、白黒・文字だけで作成している弁護士が多いと思いますが、最近は、強調したい部分を太字にしたり、下線等を引かれた書面も目にすることがあり、それも問題なく許容されているようです。

弁護士ってどんな一日を送っているの?

小学生のなりたい職業ランキング、皆さんご存じでしょうか。調べてみるといくつかの会社がランキングを出しているようですね。
最近では、YouTuberなども上位にランクインしており、時代は変わったなぁなんて思ったりしますが、変わらずランキング上位に入っていないのが弁護士ではないでしょうか(少なくとも私がざっと調べた中にはありませんでした)。
日本はアメリカのような訴訟社会ではないですから、日常的に弁護士と関わること自体少ないわけで、子どもたちにとっても馴染みのない職業なのかなと思います。
そこで、今日は、少しでも弁護士を身近に感じて頂くために、弁護士がどんな一日を送っているのか、簡単にご紹介してみたいと思います。


まず、一日の予定を決める際に核になるのは、①法律相談、②打合せ、③期日への出頭です


①法律相談

事件として依頼をお受けする前のご相談段階のものです。内容しだいで相談のみで終了することもあります。弁護士が事件処理をした方が良いと判断した場合には受任することになります。


②打合せ

事件として受任した依頼者との打合せがメインです。
資料を準備して頂いたり、資料に基づいて今後の方針を打ち合わせたりします。
稀ではありますが、相手方や相手方弁護士と打合せをすることもあります。


③期日への出頭

裁判(弁護士は「期日」と言います)がある場合、それに出頭する(つまり裁判所に出向く)必要があります。

 

この①~③は事前に時間が決まっています。したがって、これを軸にして、隙間時間に以下の④~⑨のような仕事をこなしていくことになります。


④調査

依頼された事件処理を行うに当たっては調査が欠かせません。
法律は山のようにありますし、法律に全てが書かれているわけではありません。問題になりそうな点について、関連する法律(条文)は何か、その条文はどのように解釈すればよいか、関連する判例はないか、学説はどうなっているか、等々を調査する必要があります
図書館にいったり、判例を必要に応じて全文読んだり、地味ですが重要かつ時間のかかる作業です。


⑤起案

書面を作成することです。相手方に送付する書面、裁判所に提出する書面、検察官に送付する書面、その他、行政機関や弁護士会宛ての書面の作成が必要な時もあります
書面作成は弁護士の仕事の中でも肝になる部分で、それだけに気も遣う仕事です。


⑥電話対応・メール

依頼者や相手方、裁判所、検察官等、各所から、事件に関する電話がかかってきます。
弁護士は並行して複数の案件を処理していますので、「○○さんの件で」などと言われると、「えーっと、あの件ですね」という形で頭の中をスライドさせる必要があります。
依頼者からはメールも送られてきますので、これへの回答も行う必要があります。
もちろん必要に応じて、弁護士側から電話やメールをすることもしばしばです。


⑦現場調査(場合による)

これは事件によりますが、現地の様子を見に行くこともあります。弁護士の中には、通勤・退勤途中に、現地を見てくるなんて人もいます。


⑧警察署等での接見、被害者・関係者との面会等(刑事事件の場合)

刑事事件を受任している場合、接見で警察署に行ったり、示談交渉のために被害者に会いに行くこともあります。被疑者の家族と面会することもあります。


⑨公益的活動である委員会や、事務所内での会議や勉強会など

その他、これは人によりますが、公益的活動の一つとして、委員会に所属して会議に出席したり、割り振られた作業をこなしたりする弁護士もいます。
また、事務所によっては所内会議や事務所内勉強会が開かれるところもあります。

 


以上が主な仕事になります。
いかがでしょうか、多少なりとも弁護士の一日が想像できたでしょうか?
少しでも弁護士に興味を持ってくれる方が増えると良いのですが!

法曹界用語?④

「法曹界用語」? 第4弾です。
今日ピックアップするのは、「修習」「JPB」「二回試験」です。

 

1「修習」

司法修習のこと。
裁判官、検察官、弁護士を目指す者は、原則として、司法試験に合格し、その後司法修習を受けなければなりません。現在の司法修習の期間は約1年です。

司法修習では、全国から配属地が決められ、その配属地で、裁判所、検察庁、弁護士事務所を数か月ずつ回ります。実際の裁判を傍聴したり、書面の案文を作成したりと、実際の実務を経験する貴重な機会となります。
また、修習の最初と最後に、司法研修所に集められ、集団での研修も行われます。講義や模擬裁判が主な内容です。

司法修習は、先程も述べたとおり、法曹の卵として実際の実務を経験する貴重な機会ですし、また法曹になってからも長く付き合える同期たちと知り合う意味でも大事な時間です。

 

2「J、P、B」

「J」は裁判官のこと。「judge」の頭文字です。
「P」は検察官のこと。「prosecutor」の頭文字です。
「B」は弁護士のこと。なのですが、何の頭文字かは若干争いがあるようです。私は「barrister」の頭文字と教わりましたが、「べんごし」のBだと言う人もいるようです。

 

3「二回試験」

司法修習の最後に受ける試験のこと。
正式名称は「司法修習生考試」ですが、司法試験に合格した後、また受けなければならない試験=2回目の試験ということで、司法修習生や法曹界の人間には「二回試験」と呼ばれています。

司法修習を受けても、最後の「二回試験」に合格しなければ、司法修習を卒業できず、裁判官・検察官・弁護士にはなれません。
この頃には、就職先も決まっている人がほとんどなので、修習生にとってはかなり緊張する試験です(落ちたら、内定取消もあり得るので)。

 

弁護士のFAX事情

突然ですが、皆さんは、普段の生活でFAXを利用されることがありますか?

私はこの業界に入るまで、数える程しかFAXを利用したことがありませんでした。
電話やメールで事足りる生活を送っていた私にとって、この業界のFAX使用頻度の高さ!!驚きだったのを覚えています。

どういう時に使うのかというと、弁護士どうしのやり取りや裁判所、検察庁とのやり取り、これはほとんどがFAXで行われます。
そのため、依頼者様にもFAX書面をお見せすることがありますが、「え、今時FAXなんですか!?メールとかじゃないんですか!」と驚かれることもしばしばです。

では、依頼者様とのやり取りはどうなのか?「もしかしてこれもFAX?」と不安になった方もおられるかもしれませんが、依頼者様とのやり取りをFAXで行うことはほぼありません。
電話やメールで意思疎通することがほとんどで、多くの場合、それで事足りています。

とはいえ、テレワーク推進のためのFAX廃止も叫ばれている今日この頃。今のところ変化の雰囲気はありませんが、今後少しずつ法曹界も変わっていくのかしら・・・?と思う今日この頃です。

 

法曹界用語?③

「法曹界用語」? 第3弾です。
今日ピックアップするのは、「被疑国」「いごん」「ADR」です。

 

1「被疑国」

被疑者国選弁護人のこと
現在では、身体を拘束された場合(勾留状が発せられている場合)、被疑者が請求すれば、原則として全ての事件で被疑者国選弁護人を付けることが可能になっています(すでに弁護人がいる場合は除く)。

ただし、この国選弁護人の請求には資力要件があり、「貧困その他の事由により弁護人を選任できない」ことが必要とされています(そのため、資力申告書を提出する必要があります。)。
もっとも、資力が基準額以上の場合でも、弁護士会に弁護人を選任(紹介)してくれるよう申出をしたが、弁護人を選任できなかった場合には、被疑者の請求による被疑者国選弁護人の選任が可能とされています。したがって、基準額以上の資力がある場合でも、国選弁護人を付けることは可能となっています。

 

2「いごん」

「遺言」のこと。一般的には「ゆいごん」と読まれることが多いですが、法曹界では「いごん」と読むことが多いようです。

 

3「ADR」

裁判によらない紛争解決手続のことAlternative Dispute Resolutionの略。
消費者問題における国民生活センター紛争解決委員会による手続(和解の仲介・仲裁)や、交通事故での交通事故紛争処理センターによる手続等が例として挙げられます。

法曹界用語?②

先週に引き続き、「法曹界用語」? 第2弾!

今日ピックアップするのは、「単独事件・合議事件」「判事・判事補・特例判事補」「右陪席・左陪席・裁判長」です。

 


1.「単独事件・合議事件」

地方裁判所が第一審として裁判をする場合に、裁判官が1人だけで裁判を行う事件が「単独事件」、3人の裁判官で合議体を組んで裁判を行う事件が「合議事件」です。

 

2.「判事・判事補・特例判事補」

大体、任官して10年を過ぎると「判事」になることが多く、それまでは「判事補」と呼ばれます。
「判事補」は合議事件しか扱えませんが、任官して5年を過ぎると「特例判事補」になることが可能です。
「特例判事補」になると、「判事」と同様に単独事件を扱うことができ、1人で裁判をすることが可能になります。

 

3.「右陪席・左陪席・裁判長」

合議事件で、3人の裁判官の中央に座っているのが「裁判長」です。
この裁判長から見て右側に座っているのが「右陪席」、裁判長から見て左側に座っているのが「左陪席」です。
傍聴席から見た右・左とは逆になるので注意が必要ですね。

法曹界用語?①

裁判の傍聴に行くと、よく分からない言葉が聞こえてくることがあります。弁護士と話していても、弁護士が意識せず使った言葉が、一般の方には聞き馴染みがないということも。

今日は、そんな「法曹界用語」?について、いくつかピックアップしてご説明したいと思います。

 


1.「しかるべく」

裁判期日において裁判官から意見を聞かれた時、特に反対の意見はない場合に、裁判官にお任せしますという意味で使います。

2.「差し支え」

裁判期日の日程調整をする際に、その日のその時間は都合が悪いですという意味で使います。

3.「お受けできます」

差し支えの対義語です。その日その時間であれば期日に参加できますという時に使います。

4.「直送」

裁判で提出する書類を相手方に直接送ること。
直送が可能な書類と認められていない書類があるので、弁護士や事務員は注意が必要だったりします。

5.「請書(期日請書)」

特に裁判の初回期日を決める場合に使うことが多いです。
電話やFAXで日程調整がされ、期日が決定すると、裁判所側から「請書を出して下さい」と言われます。
決定したその日その時間に期日があるということで承諾しましたという意思を表す書類で、これを裁判所に提出します。

 

弁護士の転職事情

前回のコラム(こちらを参照)に引き続き、今回は、弁護士の転職事情について少しお話ししてみたいと思います。

 

一般的なサラリーマンが「転職」というと、「前の職場で何かあったんじゃないか?大丈夫か?」といった視線を浴びることも多いのではないでしょうか。
最近は転職も徐々に増え、このような視線や考え方も少しずつ変わっていると思いますが、それでもこういった視線はまだ存在するのだろうと思います。

 

では、弁護士の場合どうかというと、転職は比較的しやすい業界だと思います。

介護や結婚による転居といったやむを得ない理由の場合はもちろん、それなりに経験も積んだので、これからは事務所に縛られることなく自分のペース、自分の考え方で仕事をしたいなど、一般的なサラリーマンではちょっと考えにくいような理由でも、転職は可能のようです。
他にも、別の事務所の弁護士と仲良くなり、ぜひ一緒に仕事をしたいということで、その事務所に転職することもあると聞きます。

 

ここまで転職に対して柔軟な理由は、おそらく、弁護士が自由業、かつ、資格制の仕事だからだと思います。

周りの弁護士に話を聞いてみると、「自由」を求めて弁護士になったという人が多く、弁護士全体の傾向としても、事務所やボスに縛られたくないという人が多いと感じます。
その結果、自由に転職する(事務所を変わる)ことを容認しやすい空気があるのでしょう。

また、弁護士は資格制の職業ですので、必要最低限の能力については、一応のお墨付きを得られているとも言えます。
この点でも、転職弁護士を受け入れやすい傾向があるのではないかと思います。

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