法曹界用語?④

「法曹界用語」? 第4弾です。
今日ピックアップするのは、「修習」「JPB」「二回試験」です。

 

1「修習」

司法修習のこと。
裁判官、検察官、弁護士を目指す者は、原則として、司法試験に合格し、その後司法修習を受けなければなりません。現在の司法修習の期間は約1年です。

司法修習では、全国から配属地が決められ、その配属地で、裁判所、検察庁、弁護士事務所を数か月ずつ回ります。実際の裁判を傍聴したり、書面の案文を作成したりと、実際の実務を経験する貴重な機会となります。
また、修習の最初と最後に、司法研修所に集められ、集団での研修も行われます。講義や模擬裁判が主な内容です。

司法修習は、先程も述べたとおり、法曹の卵として実際の実務を経験する貴重な機会ですし、また法曹になってからも長く付き合える同期たちと知り合う意味でも大事な時間です。

 

2「J、P、B」

「J」は裁判官のこと。「judge」の頭文字です。
「P」は検察官のこと。「prosecutor」の頭文字です。
「B」は弁護士のこと。なのですが、何の頭文字かは若干争いがあるようです。私は「barrister」の頭文字と教わりましたが、「べんごし」のBだと言う人もいるようです。

 

3「二回試験」

司法修習の最後に受ける試験のこと。
正式名称は「司法修習生考試」ですが、司法試験に合格した後、また受けなければならない試験=2回目の試験ということで、司法修習生や法曹界の人間には「二回試験」と呼ばれています。

司法修習を受けても、最後の「二回試験」に合格しなければ、司法修習を卒業できず、裁判官・検察官・弁護士にはなれません。
この頃には、就職先も決まっている人がほとんどなので、修習生にとってはかなり緊張する試験です(落ちたら、内定取消もあり得るので)。

 

勾留の要件

Q. 25歳の弟が逮捕されました。今後、「勾留」されるかもしれないと言われたのですが、どのような場合に「勾留」されるのでしょうか?

 

 

A. 成人の刑事被疑者について、身体を拘束する「勾留」をするためには、法律上、以下の4つの要件を満たしている必要があります
30万円以下の罰金、拘留または科料に当たる罪等についてはより厳しい要件となっています。)

 

1 被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること

2 以下①~③のいずれかに該当すること

①住居不定

=定まった住居を有していないこと

②罪証隠滅のおそれがあること(罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること)

=証拠を隠滅するおそれがあること

③逃亡のおそれがあること(逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること)

3 勾留の必要性があること

=身体を拘束する必要性と、勾留することによって被疑者が被る不利益の比較衡量で決まることがほとんど

4 逮捕が先行していること(逮捕前置主義)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上が、勾留が認められるための要件になります。

勾留が認められてしまった場合、弁護士としては、事案によって、勾留に対する準抗告という手続を取って勾留を争ったり、勾留開始後に勾留の要件を満たさなくなったような場合には、勾留取消請求をして、身体拘束からの解放を目指したりします。

 

弁護士のFAX事情

突然ですが、皆さんは、普段の生活でFAXを利用されることがありますか?

私はこの業界に入るまで、数える程しかFAXを利用したことがありませんでした。
電話やメールで事足りる生活を送っていた私にとって、この業界のFAX使用頻度の高さ!!驚きだったのを覚えています。

どういう時に使うのかというと、弁護士どうしのやり取りや裁判所、検察庁とのやり取り、これはほとんどがFAXで行われます。
そのため、依頼者様にもFAX書面をお見せすることがありますが、「え、今時FAXなんですか!?メールとかじゃないんですか!」と驚かれることもしばしばです。

では、依頼者様とのやり取りはどうなのか?「もしかしてこれもFAX?」と不安になった方もおられるかもしれませんが、依頼者様とのやり取りをFAXで行うことはほぼありません。
電話やメールで意思疎通することがほとんどで、多くの場合、それで事足りています。

とはいえ、テレワーク推進のためのFAX廃止も叫ばれている今日この頃。今のところ変化の雰囲気はありませんが、今後少しずつ法曹界も変わっていくのかしら・・・?と思う今日この頃です。

 

法曹界用語?③

「法曹界用語」? 第3弾です。
今日ピックアップするのは、「被疑国」「いごん」「ADR」です。

 

1「被疑国」

被疑者国選弁護人のこと
現在では、身体を拘束された場合(勾留状が発せられている場合)、被疑者が請求すれば、原則として全ての事件で被疑者国選弁護人を付けることが可能になっています(すでに弁護人がいる場合は除く)。

ただし、この国選弁護人の請求には資力要件があり、「貧困その他の事由により弁護人を選任できない」ことが必要とされています(そのため、資力申告書を提出する必要があります。)。
もっとも、資力が基準額以上の場合でも、弁護士会に弁護人を選任(紹介)してくれるよう申出をしたが、弁護人を選任できなかった場合には、被疑者の請求による被疑者国選弁護人の選任が可能とされています。したがって、基準額以上の資力がある場合でも、国選弁護人を付けることは可能となっています。

 

2「いごん」

「遺言」のこと。一般的には「ゆいごん」と読まれることが多いですが、法曹界では「いごん」と読むことが多いようです。

 

3「ADR」

裁判によらない紛争解決手続のことAlternative Dispute Resolutionの略。
消費者問題における国民生活センター紛争解決委員会による手続(和解の仲介・仲裁)や、交通事故での交通事故紛争処理センターによる手続等が例として挙げられます。

法曹界用語?②

先週に引き続き、「法曹界用語」? 第2弾!

今日ピックアップするのは、「単独事件・合議事件」「判事・判事補・特例判事補」「右陪席・左陪席・裁判長」です。

 


1.「単独事件・合議事件」

地方裁判所が第一審として裁判をする場合に、裁判官が1人だけで裁判を行う事件が「単独事件」、3人の裁判官で合議体を組んで裁判を行う事件が「合議事件」です。

 

2.「判事・判事補・特例判事補」

大体、任官して10年を過ぎると「判事」になることが多く、それまでは「判事補」と呼ばれます。
「判事補」は合議事件しか扱えませんが、任官して5年を過ぎると「特例判事補」になることが可能です。
「特例判事補」になると、「判事」と同様に単独事件を扱うことができ、1人で裁判をすることが可能になります。

 

3.「右陪席・左陪席・裁判長」

合議事件で、3人の裁判官の中央に座っているのが「裁判長」です。
この裁判長から見て右側に座っているのが「右陪席」、裁判長から見て左側に座っているのが「左陪席」です。
傍聴席から見た右・左とは逆になるので注意が必要ですね。

刑事事件の流れ

Q. 姉が万引きで警察に逮捕されました。今、警察の留置場にいるようなのですが、今後の流れはどうなるのでしょうか?

 

 

A. 警察に逮捕された、それだけで不安ですが、これから先どうなるのかが分からないと尚更不安になるものです。
今日は、警察に逮捕された後、裁判所で判決を受けるまでの一般的な流れについてご説明したいと思います。
なお、少年事件については流れが異なりますので、今日のご説明は少年事件以外に当てはまるものとお考え頂ければと思います。

 

警察による逮捕

 ↓ 48時間以内

検察官への送致(または釈放)

 ↓ 24時間以内(かつ逮捕から72時間以内)

勾留(※1)(または釈放)

 ↓

 ↓ 最大10日 

 ↓ 場合によって勾留延長されるとさらに最大10日(合計して最大20日まで)

 ↓(法律上、20日以上にすることも可能な規定がありますが、罪が限定されており、ほとんどないと考えて良いと思います)

 ↓

起訴(起訴しない場合釈放)(※2)

 ↓

 ↓ 起訴後は、要件を満たせば、裁判所により保釈が許可されることもある

 ↓

裁判期日(期日の回数は事案による。公判前整理手続があることも。)

 ↓

判決

 ↓

場合によって控訴・上告(控訴がなければ判決確定)

 

1:「勾留」とは、簡単に言えば、警察の留置場などで身体を拘束されることを意味します。

※2:「起訴」には、通常起訴のほかに、より簡易な裁判手続も用意されています。略式起訴や、起訴とともにする即決裁判手続の申立などがこれに当たります。もっとも、利用できる要件は限定されており、いずれも比較的軽微な事件で利用できる制度となっています。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上が一般的な流れになります。

特に身体を拘束された場合には、上述のような時間制限もありますので、早めに弁護士に相談することが重要です。

法曹界用語?①

裁判の傍聴に行くと、よく分からない言葉が聞こえてくることがあります。弁護士と話していても、弁護士が意識せず使った言葉が、一般の方には聞き馴染みがないということも。

今日は、そんな「法曹界用語」?について、いくつかピックアップしてご説明したいと思います。

 


1.「しかるべく」

裁判期日において裁判官から意見を聞かれた時、特に反対の意見はない場合に、裁判官にお任せしますという意味で使います。

2.「差し支え」

裁判期日の日程調整をする際に、その日のその時間は都合が悪いですという意味で使います。

3.「お受けできます」

差し支えの対義語です。その日その時間であれば期日に参加できますという時に使います。

4.「直送」

裁判で提出する書類を相手方に直接送ること。
直送が可能な書類と認められていない書類があるので、弁護士や事務員は注意が必要だったりします。

5.「請書(期日請書)」

特に裁判の初回期日を決める場合に使うことが多いです。
電話やFAXで日程調整がされ、期日が決定すると、裁判所側から「請書を出して下さい」と言われます。
決定したその日その時間に期日があるということで承諾しましたという意思を表す書類で、これを裁判所に提出します。

 

顧問弁護士の料金について

弊所に顧問弁護士を依頼された場合の費用(料金)について、簡単にお知らせ致します。

 

弊所では、原則として、5万円~10万円程度(いずれも税込)を月額料金として想定しております。

顧問弁護士に依頼したい仕事としては、
・会社の業務に関する法律相談や
・出張法律相談(会社に赴き、業務に関する相談をお受けするもの)、
・契約書チェックや契約書作成、
・社内研修   など
が想定されます
月額料金との兼ね合いで、これらの業務をどこまで含めるか、原則的なプランは用意しております


とはいえ、会社様によって、状況やご要望はそれぞれかと思います。
したがって、対応させて頂く業務内容は、会社様のご希望もお伺いしつつ、料金との兼ね合いも考えながら、ご相談の上、柔軟に検討させて頂きます

月額料金につきましても、5万円~10万円を原則として想定してはおりますが、会社様のご要望しだいで、それを超える額とすることも可能です。
当然、対応できる業務内容も多くなります。


まずは会社様の状況を伺えればと思いますので、業務内容のご要望も含め、ご相談頂ければと思います
先程例として挙げた業務以外にも、ご要望があればご相談下さい。

弁護士の転職事情

前回のコラム(こちらを参照)に引き続き、今回は、弁護士の転職事情について少しお話ししてみたいと思います。

 

一般的なサラリーマンが「転職」というと、「前の職場で何かあったんじゃないか?大丈夫か?」といった視線を浴びることも多いのではないでしょうか。
最近は転職も徐々に増え、このような視線や考え方も少しずつ変わっていると思いますが、それでもこういった視線はまだ存在するのだろうと思います。

 

では、弁護士の場合どうかというと、転職は比較的しやすい業界だと思います。

介護や結婚による転居といったやむを得ない理由の場合はもちろん、それなりに経験も積んだので、これからは事務所に縛られることなく自分のペース、自分の考え方で仕事をしたいなど、一般的なサラリーマンではちょっと考えにくいような理由でも、転職は可能のようです。
他にも、別の事務所の弁護士と仲良くなり、ぜひ一緒に仕事をしたいということで、その事務所に転職することもあると聞きます。

 

ここまで転職に対して柔軟な理由は、おそらく、弁護士が自由業、かつ、資格制の仕事だからだと思います。

周りの弁護士に話を聞いてみると、「自由」を求めて弁護士になったという人が多く、弁護士全体の傾向としても、事務所やボスに縛られたくないという人が多いと感じます。
その結果、自由に転職する(事務所を変わる)ことを容認しやすい空気があるのでしょう。

また、弁護士は資格制の職業ですので、必要最低限の能力については、一応のお墨付きを得られているとも言えます。
この点でも、転職弁護士を受け入れやすい傾向があるのではないかと思います。

破産に関する勘違い~破産すると戸籍に記載される?

Q. 生活苦で借金がかさみ、返済できなくなってしまいました。
自己破産も考えていますが、破産すると戸籍に記載されると聞きました。本当に記載されるのなら破産したくないのですが・・・

 

A. 自己破産しても、破産の事実が戸籍に記載されることはありません

 

これは自己破産に関するよくある勘違いの一つです。

自己破産したことは、官報には掲載されますが、戸籍や住民票に記載されることはありません。そして、通常、官報を読んでいるという人はかなり少ないです。
破産なんて恥ずかしいからしたくないという方がよくおられますが、全く知らない人にまで破産の事実が分かってしまうことは少ないですから、恥ずかしい等と尻込みせず、ご相談されてみてはと思います。

 

他にたまに耳にする勘違いに、一切の仕事ができなくなるという勘違いもあります。

たしかに、破産手続が開始すると、免責決定が確定するまで、一定の職業にはつけなくなります。しかし、一切の職業ができないわけではありません。
「破産すると仕事をやめなくてはいけないんですよね」と聞かれることがたまにありますが、それは限定的だということを知っておいて頂ければと思います。

 

以上のとおりですので、あまり心配しすぎず、まずは弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。

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