相続法改正について学んでみよう④~配偶者短期居住権制度①

Q. 先日、夫が亡くなりました。生前、私は夫とともに、夫名義の建物に住んでいましたが、夫の死後、とある相続人から、建物に住み続けるなら賃料を支払うように、支払わないならすぐに出て行くようにと言われてしまいました。私としては、すぐに出て行けと言われても困るのですが・・・

 

 

A. 他の相続人から追い出されそう・・・というご相談も、時々お受けするご相談の一つです。相続人が前妻の子と後妻のような場合が多いでしょうか。
もっとも、実の親子だから起こらないというものではなく、実の親子でも、仲が険悪になれば起こり得るケースと言えます。

 

このような事例における配偶者を保護するために、民法(相続法)改正により、配偶者短期居住権という制度ができました
長くなりますので、今回と次回に分けて、この制度についてご説明したいと思います。

今回は、配偶者短期居住権制度を理解するため、本制度ができた背景=改正前民法の下での配偶者保護の状況について概観してみましょう。

前提として、これからの説明における用語の確認をしておきます。

被相続人=亡くなった方

配偶者=被相続人の配偶者

 

 

 

 

 

被相続人の生前、配偶者が被相続人とともに、被相続人所有の建物に居住していたという事例を考えてみます。
特に遺言などもない場合を想定しましょう。

 

この場合、被相続人が亡くなると、被相続人が所有していた財産は原則として全て遺産となり、相続人全員による共有状態になります。
たとえ一緒に住んでいた配偶者であっても、被相続人の死後、その建物に無料で住むことのできる権利を自動的に認められることはありません。
配偶者も高齢になっていることが多いのに、突然無料では住めないと言われても・・・これではあまりに負担が大きいという問題がありました。


民法が改正される以前、この問題は最高裁の判例によって補われていました。
相続人の一人が、被相続人の生前、被相続人から許可を得て同居していた場合には、特段の事情がない限り、被相続人の死亡後も、遺産分割で建物の所有者が確定するまでの間、当該建物を無料で使用させる合意があったと推認されるとの判断がされたのです。

 

これにより多くの配偶者は保護されることになったのですが、残った問題点もありました。
この判断はあくまで、被相続人の意思を合理的に解釈するとそのような意思(=所有者が確定するまでの間、建物を配偶者に無料で使用させる意思)のはずだという考え方に則っていたため、たとえば被相続人が明確にこれに反する意思を表明していた場合には、配偶者は保護されないという結論になりかねない問題がありました。

 

そこで、配偶者の保護をより確実に実現するため、民法(相続法)改正により創設されたのが、配偶者短期居住権の制度です

次回は、いよいよ配偶者短期居住権制度の概略についてご説明します。

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