民事執行①~預貯金の差押え①

Q. 私(A)は、Bさんに100万円を貸していましたが、返済期限を過ぎても返してくれませんでした。
仕方ないので、先日裁判を起こし、判決で、私のBさんに対する100万円の請求が認められ、確定しました。
しかし、その後もBさんは一向にお金を払ってくれません。
BさんにはX銀行に預金があるようなのですが、そこからお金を払ってもらうことはできますか?

 

 

A. 預金に対して差押手続を行いましょう。

 

預貯金は、金融機関に対する債権ですので、これを取り立てるには、裁判所で債権執行手続を行う必要があります。

債権執行手続とは、債務者が第三者に対して有する債権を差し押さえ、これを場合によっては換価し、債務の弁済に充てる手続です。


預貯金に対する差押えは、回収が比較的容易なこともあり、頻繁に使われる手続です。

今回・次回と2回にわたり、この預貯金に対する差押手続についてご説明します
今回は、手続の必要書類と要件について。

 

ご説明の前に用語の整理をしておきましょう。

債権者=Aさん

債務者=Bさん

第三債務者=X銀行

請求債権=請求している債権のこと。今回のQでは、AさんのBさんに対する100万円の貸金返還請求権。

差押債権=差し押える対象の債権のこと。今回のQでは、BさんのX銀行に対する預金債権のこと。

 

 

 

 

 

 

1 主な必要書類

必要となる書類は、事案によって若干異なります。以下では、多くのケースで必要となる主な書類についてご説明します。

 

⑴ 債務名義

説明しようとすると難しいのですが、なるべく簡単に言うと、権利が存在することとその範囲を公証する文書のことです。

今回のQで言えば、AさんのBさんに対する100万円の貸金返還請求権が存在することを公証する文書を指します。

 

どのような文書が債務名義として認められるかは法律で定められており、

裁判所の判決(確定したものや仮執行宣言が付いたもの)や、

裁判上の和解における和解調書

執行受諾文言の付いた公正証書(※内容には制限があります) 

が債務名義として認められています。

今回は、判決が確定しているので、100万円の貸金返還請求権を認める判決とそれが確定したことを示す確定証明書が、債務名義として必要になります。

 

⑵ 執行文

これも説明しようとすると難しいのですが、債務名義について、執行できるだけの効力が現に存在することを公証する文書のことです。

執行を行うためには、原則として執行文が必要であり、申立書を提出し、執行文の付与を受けることになります。

執行文には、大まかに、①単純執行文、②条件成就執行文、③承継執行文の3種類があります。

どの執行文が必要になるかは、事案によって異なります。

 

⑶ 債務名義(と執行文)の送達証明書

詳しくは以下2⑵でご説明しますが、原則として、債務名義(と執行文)の送達証明書も必要になります。

 

⑷ その他

⑴~⑶が主な必要書類ですが、他にも、たとえば、会社であれば資格証明書など、いくつか書類が必要になることがあります。

 

 

2 主な要件

⑴ 必要書類を準備して、裁判所に申立をすること


⑵ 債務名義(と執行文)の送達

原則として、債務名義または確定することで債務名義となる裁判の正本または謄本が、事前に、あるいは執行開始と同時に、債務者に送達されていることが必要です。

今回のQのような裁判の判決の場合、裁判手続の中で債務者に送達されますので、別途送達をする必要はありません。
しかし、和解調書などは自動的には送達されませんので、送達を申請する必要があります。

また、1⑵②または③の執行文(条件成就執行文または承継執行文)が付与された時は、その執行文と、執行文を得るために債権者が提出した文書の謄本も、事前に、または執行開始と同時に、送達される必要があります。

上記1⑶でも記載したとおり、これらを送達したことが分かる送達証明書は、申立の際に添付することが必要です。


⑶ 債務名義に条件等が付されている場合、その条件等が成就していること

この条件等の成就を確認する方法として、1⑵②の条件成就執行文を得ることが必要なケースもあれば、そこまでは必要なく、執行を申し立てる際に条件等の成就が確認できれば良いケースもあります。
いずれに該当するかは弁護士にご相談頂ければと思います。

執行申立の際に条件等の成就が確認できれば良いケースでは、申立の際に、条件等の成就が確認できる資料を添付する必要があります。

 

 

以上が、預金に対する差押手続の主な必要書類と要件です。

次回は、預金差押手続の流れについてご説明します。

 

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